12月４日　今日　僕らは命をいただいた

５月に卵から孵し，最近ようやく卵を産むようになった命だ

つるされているけれど，雄鶏の雄々しさに「お前のかっこいいな」と思わず声をかけた

 

頸動脈をさっと切って，暴れないように羽を押さえた

しばらくすると，強い強い力で，押し返してきた

僕は鶏が痛くないように，でも必死に押さえた

放血し，脱毛すると　見たことのある鶏肉になった

かっこよかった雄鶏もブロイラーと比べたら貧相だった

手順に沿って解体が進む

鶏モモ，手羽先，手羽元，ささみ　スーパーのパックには何羽分もの命が詰まっているんだ

あばら骨をはずしたら，並んだ内臓が現れた

「すげぇ　きれい」　「まだ　温かいな」

順に大きくなる卵胞に，改めて毎日卵を産む生命力を思った

 

焼いてもらった鶏肉は，冷えた身体にうまかった

 

「明日　ゆで卵あるかな」と誰かが言うと

　「卵　産むやつ　居なくなっちゃたよ」と

そっか　僕らがいただいたんだ